2年目の選択ローテーション、行き先は決まりましたか?内科系の重症患者を多職種のチームで診る急性期ICUには、生理学から人工呼吸器、血行動態、栄養、倫理まで——医師として必要な引き出しが一気に身につく、濃密な数週間があります。
敗血症・呼吸不全・血液腫瘍・免疫不全——内科系の重症患者が集まる急性期ICUです。数値はJIPAD(日本ICU患者データベース)2024年度 施設別レポートの実データです。
非手術入室が半数を超え、感染症・血液腫瘍・免疫不全の患者が全国平均より多く集まります。三次医療機関として、病態生理から考える集中治療を経験できます。
ICUカンファレンスでは、レジデント・看護師・薬剤師・栄養士・理学療法士・スタッフ医師が、患者さん一人につき5〜7分かけて順番に発言します。
RRS/MET経由の入室は全国の約3倍。院内急変への対応から集中治療への橋渡しまで、急性期対応を学ぶ機会が豊富です。
2027年度は、新規入室・急変対応が集中する夜間帯を選択者がまとめて担当します(週2〜3回)。症例と手技を、もっとも密度高く経験できる設計です。
新規入室・急変対応のファーストコールとして、主体的に重症患者マネジメントを担当します。日本集中治療医学会の教育プログラムに基づき、気道管理・人工呼吸器・循環管理・鎮痛鎮静・中心静脈/動脈ライン確保を、実際の重症患者管理の中で経験します。
夜勤は16時〜翌9時。明けは朝の回診・申し送り後に帰宅し、日中は休息・自己学習・振り返りに使えます。非選択のローテーターと勤務帯が重ならないため、お互いの経験機会を奪いません。勤務曜日は希望を聞いて、オーダーメイドで調整します。
| 勤務パターン | 週の勤務時間 | 月の時間外労働(目安) |
|---|---|---|
| 夜勤 週2回 | 32時間(法定内) | 0時間 |
| 夜勤 週3回 | 48時間 | 約35時間 |
| 週2回・週3回を交互 | 平均40時間 | 約17時間 |
夜勤1回=16時間換算。月の時間外労働は「週あたり超過時間×4.33週」で概算し、いずれも上限45時間/月の範囲内です。夜勤専従といっても無理はさせません——患者数や体調を踏まえて相談しながら組みます。
| 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 日中8:00〜17:00 | 明け | 休み | 明け | 休み | 休み | ||
| 夜勤16:00〜翌9:00 | 勤務 | 勤務 |
| 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 日中8:00〜17:00 | 明け | 明け | 明け | 休み | |||
| 夜勤16:00〜翌9:00 | 勤務 | 勤務 | 勤務 |
「明け」は朝の回診・申し送り終了後に帰宅します(勤務時間は前日の夜勤に含みます)。曜日は希望に応じて調整します。
当直中に病棟の患者さんが急変したとき、応援が来るまでの数分を、ひとりで動けますか。ICで「気管切開」の話をするとき、そのあとに患者さんとご家族が過ごす日々を具体的に思い描けていますか。ICUで学ぶ全身管理は、どの科に進んでも土台になります。ここで数週間過ごすと、その「わからなさ」が確実に減ります。
内科医のキャリアで必ず出会う「病棟でいちばん重い患者さん」。その最終形が毎日入室してくるのが当院ICUです。臓器の内訳も神経23.3%・消化管21.6%・呼吸器16.1%・代謝性8.0%と幅広く、腎代替療法(間欠的)は7.9%と全国の約2倍。内科疾患の最重症形を、人工呼吸器・循環作動薬・血液浄化まで使って自分の手で治療します。
人工呼吸日数の中央値は3.8日で全国の約2.7倍。挿管して終わりではなく、ウィーニングして抜管するまでを最後まで担当できるのがこのICUの特徴です。by systemで全身を評価してプランを立てる「型」は、そのまま2年目以降の病棟診療の武器になります。
合併症を起こさない外科医の裏には、確かな周術期管理があります。ICUでは人工呼吸器・血行動態・栄養・感染症の管理を体系的に学び、術後の患者さんが回復して病棟へ戻るまでの道筋を自分でデザインできるようになります。病棟へ直接退室する患者さんが86.1%(全国76.7%)と、短期集中で立て直して戻すICUです。
心臓血管外科・呼吸器外科・脳神経外科を含む9科と主科チャットで毎日やりとりしており、外科医がICUをどう使うかも肌でわかります。手技は「10 CVCs Challenge」でCV・PICC・バスキャスを10本以上。エコーガイド下穿刺の型をここで固めれば、そのまま外科の現場で活きます。
挿管・鎮静・人工呼吸・循環管理——手術室で磨く技術が、ICUでは日単位の時間軸で試されます。HFNCの使用率は27.4%と全国の2倍以上で、挿管を回避する判断から、抜管を見込んでSBTを組む判断まで、気道・呼吸の意思決定を繰り返し経験できます。
ICU PASSPORTの全12コマのうち、気管挿管・鎮痛鎮静・人工呼吸器・HFNC/NIV・手技穿刺の5コマが麻酔科領域。当科には麻酔科出身のスタッフが2名在籍し、麻酔科ローテーターの受け入れ実績もあります。"ホーム"の延長で戦える環境です。
ERで心拍が戻った患者さんが、歩いて退院するまでに何が起きているのか。その答えがICUにあります。RRS/MET経由の入室は9.2%と全国の約3倍、緊急入室も64.7%(全国48.5%)。院内急変の最前線で、初期対応から集中治療への橋渡しを繰り返し経験できます。
選択ローテでは、新規入室・急変対応のファーストコールを担います。気道確保・ライン確保・人工呼吸器の初期設定を自分の判断で回す経験は、救急医としての土台そのもの。「5 RRS / ICU Admission」チャレンジで場数も確実に踏めます。
ICUは、放っておくと忙しさに流されて学び損ねる場所です。だから当科では、到達目標・レクチャー・経験すべき症例と手技を、すべて「見える化」しました。今日は何ができるようになったのか、あと何が残っているのかが、ローテーション中いつでもわかります。疑問をその場で調べられるよう、ローテーターだけが使える学習サイトも用意しています。
ローテーション中に全12コマのレクチャーをスタッフから直接受けられます。ローテ開始後2週間以内のコンプリートが目標。達成状況はパスポート形式で記録します。
全12コマ:鎮痛・鎮静/気管挿管/超音波検査/ICUの透析/Neuro ICU/人工呼吸器/HFNC・NIV/手技・穿刺/栄養/医療×AI/ヒューマンケア/緊急ACP
敗血症性ショック・ARDS・DKAなど、ICUの代表10症例を経験する
CV・PICC・バスキャスを10本以上挿入する
院内急変対応・緊急入室に5症例以上立ち会う
日勤はカンファレンスを軸にリズムがはっきりしています。選択ローテで担当する夜勤は、入室対応と手技が集中する時間帯です。
ローテーション後に研修医が回答するアンケートの自由記載から抜粋しました(一部要約)。指導体制と多職種チームの雰囲気、時間外も勉強しやすい環境を挙げる声が多く、「5週間では学びきれなかった」「もっと長くローテーションしたかった」という感想も届いています。
ICUチームの方々皆さん丁寧に教えてくださり、最も楽しく充実したローテでした。教育システムが整っており、時間外も勉強しやすい環境でした。
指導体制が整っており、それぞれの先生方の知識も豊富であるため、大変充実した時間を過ごすことができた。
治療方針のディスカッションに研修医も組み入れてくださることがとても嬉しく、勉強になりました。5週間では全然学びきれませんでした。
診療科全体として教育的でとても勉強になった。学ぶことがとても多い研修であり、より長期間ローテーションしたくなった。
今までの研修の総まとめのような研修でした。とても有意義でした。
酸素化・換気を意識し、挿管理由と抜管が見込めるかを考慮しながらSBTを行うことの大切さを学ばせていただきました。
重症患者を診る場所だからこそ、働き方と心理的安全性を大切にしています。以下はローテーター向けの案内に実際に書かれている運用です。
紹介状作成などの業務が発生しにくく、半日勤務も組み込まれているため、残業が積み上がりません。正当な時間外申請はまったく問題なく、自己研鑽での残留も歓迎です。
異変があったら、まず上級医に報告。判断より報告のスピードを評価する文化です。「何もできなくていいから、まず駆けつける」——伝書鳩で怒る先生はいません。
手技はできることよりも、適応を考えて提案できることを重視します。タイムアウトから30分で完遂できなければ必ず術者交代。抱え込まずに助けを求めるほうが、正しい行動です。
ICUを動かしているのは、集中治療科のスタッフだけではありません。カンファレンスでは看護師・薬剤師・栄養士・理学療法士がそれぞれの視点で発言し、そこにローテーターも一員として加わります。ここで一緒に働いてきたメンバーを紹介します。

患者さんに安らぎと最高のケアを提供する——それが私たちの掲げる「Hotel ICU」です。環境を整えるという意味だけではなく、ICUに関わる全員が患者さんに向き合うための合言葉です。多職種のチームの一員として、あなたが加わってくれる日を楽しみにしています。
聖路加国際病院 ICU部長・集中治療専門医
岡本 洋史
計6名。麻酔科・救急科・総合内科・腎臓内科など、多様なバックグラウンドを持つメンバーが揃っています。
2024年度からの2年半で、101名がICUのチームに加わりました。医師だけでなく、看護師・薬剤師・理学療法士・栄養士も同じ一員として、患者さんを一緒に診ています。
年度別では2024年度37名、2025年度36名、2026年度28名。現在も一緒に勤務しているメンバーも多くいます。
半日だけでも、カンファレンスだけでも構いません。「候補として迷っている」段階のご相談も大歓迎です。
研修が決まった方へ:聖路加ICU ローテーターガイド(ローテーター専用・ログインが必要です)